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どれくらい音が止まるの?
秋深き 隣は何を する人ぞ(芭蕉)
こんにちは。秋も深まりまして、夜の長い時期がやってまいりましたが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
さて、秋の夜長。お部屋に静けさが訪れると、普段は聞こえなかった音が聞こえてくるものです。
聞こえてくるものが虫の声だったら、まだ風情がありますが、
「寝室でもリビングのテレビが聞こえる」とか
「隣の部屋でもお父さんのイビキが聞こえる」とか…。
悩んでいる程ではないにしろ、いわゆる「マンションあるある」をお持ちのご家庭も多いのではないでしょうか。
聞こえてくる原因については、色々な可能性・ケースがありますし
その対策もそれぞれに応じるものなのですが
本日は、そもそもマンションの壁(戸境の壁ではなく、専有部分の間仕切り壁)が、どれくらい音が止まっているものなのか???と言う事について「質量則」という切り口で考えていきたいと思います。
先ほどサラっと「質量則」と書きましたが、辞書的な意味合いは下記になります。
●質量則(しつりょうそく)
緻密で均一な材料からできている壁体の透過損失は
その壁体の単位面積当りの質量(m)と
音の周波数(f)の積の対数値との間の直線関係がある。
その関係性を質量則という。
その…小難しくて分かりづらいのですが
誤解を恐れずとても簡単にすると
「軽い壁より重い壁の方が遮音効果がある」
「低い音より高い音の方が遮音効果がある」
と言う事です。
150mm厚のコンクリートと150mm厚の発泡スチロールだったら
より重いコンクリートの方が音が止まるというのは
感覚的にご理解いただけるのではないでしょうか。
話を間仕切り壁に戻しまして。
マンションの壁は、概ね12.5mmの石膏ボードでできています。
壁の両面に石膏ボードが張られていますから
12.5mm×2枚=25mm
というのが、(重さのある)壁の厚みになるわけです。
そして、石膏ボードメーカーのHPによりますと、 12.5mmの石膏ボードは8.5Kg/㎡だとか。
これらの情報を質量則の計算式を組み込んだエクセルに入力しますと…
小さくて恐縮ですが
500Hzの周波数帯で26.9dBの音が止まる計算結果になりました。
では、壁の石膏ボードを2倍の厚みにしたらどうでしょうか?
12.5mm×2枚×2倍なので、建築的なおさまりは置いておいて
どの程度の遮音性能になるのか、やってみましょう。
500Hzの周波数帯で32.2dBの音が止まる計算結果になりました。
厚さが2倍になっても、性能が2倍にはならないわけです。
あくまでも質量則による計算値なのですが
重さと厚みの情報があれば、どの程度音が止まるのかは
おおかたの見当はつけられます。
その辺りのご相談も承りますので、ご興味のある方は
どうぞお気軽にご相談ください。